果実が収穫後においしくなるのはなぜ?
全ての果実がおいしくなるわけではないが、おいしくなる果実あるいは野菜を中心に調べてみると、興味深い知見が数多く得られるものである。氷温協会が認定した食品には、二十世紀梨、ピオーネ、柿、ネギ、ジャガイモなど生鮮農産物が多いことが分かる。そこで、今回は、果実が収穫後、特に低温(氷温)貯蔵中においしくなるしくみについて少し解説する。
一般に果実中のデンプンは、呼吸速度が最大値に達してから静止するまでの間に減少し、ショ糖や各種還元糖が増加し甘味を増す。しかし、生成した糖は呼吸酸素系の作用により一部は炭酸ガスと水に分解されるから、デンプンの消失と糖の生成とは常に比例するとは限らない。したがって、クリのようにデンプン質の果実の場合は、収穫後にデンプンが糖に変わるが、糖の生成量が呼吸による糖の消費を上回るため、結果として糖含量は増加する。また、バナナや西洋ナシも追熟過程でデンプンが分解し糖含量が増加する。
青果物の氷温貯蔵の場合、青果物が氷温にさらされることにより、デンプンなど多糖類の酵素的加水分解が促進し、糖が生成されるものの、呼吸も氷温によって抑制されているため、時間の経過とともに糖が蓄積されて甘味が増してくる。例えば、その呼吸量に関する試験として収穫適期の鳥取県産二十世紀梨の、貯蔵温度別による二酸化炭素の呼出量を調査してみると、20℃で12.62(mg/kg)、10℃で5.43(mg/kg)、1℃で1.31(mg/kg)、そして氷温(-0.8℃)では0.92(mg/kg)という結果が得られた。貯蔵温度は低ければ低いほど呼吸は抑制され、氷温ではその傾向が著しい。氷温技術の基本的メカニズムの一つである。
また、果実、野菜のおいしさを考える上では、そしゃく感、口溶け感なども重要な要素である。一般的に果実が熟成すると組織が柔らかくなる。これは、細胞中にある不溶性のプロトペクチン(protopectin)が酵素作用によって可溶性のペクチン(solublu pectin)に変化するためである。ある種の果実では、熟成中にセルロース(cellulose)、ヘミセルロース(hemicellulose)、リグニン(lignin)などの含有量が減少することも知られている。
ただしミカンや夏ミカンのように貯蔵すると甘く感じるのは、呼吸によって有機酸(酸味)が分解されて減り、糖酸度(糖分率)が大となるためである。
一般に果実中のデンプンは、呼吸速度が最大値に達してから静止するまでの間に減少し、ショ糖や各種還元糖が増加し甘味を増す。しかし、生成した糖は呼吸酸素系の作用により一部は炭酸ガスと水に分解されるから、デンプンの消失と糖の生成とは常に比例するとは限らない。したがって、クリのようにデンプン質の果実の場合は、収穫後にデンプンが糖に変わるが、糖の生成量が呼吸による糖の消費を上回るため、結果として糖含量は増加する。また、バナナや西洋ナシも追熟過程でデンプンが分解し糖含量が増加する。
青果物の氷温貯蔵の場合、青果物が氷温にさらされることにより、デンプンなど多糖類の酵素的加水分解が促進し、糖が生成されるものの、呼吸も氷温によって抑制されているため、時間の経過とともに糖が蓄積されて甘味が増してくる。例えば、その呼吸量に関する試験として収穫適期の鳥取県産二十世紀梨の、貯蔵温度別による二酸化炭素の呼出量を調査してみると、20℃で12.62(mg/kg)、10℃で5.43(mg/kg)、1℃で1.31(mg/kg)、そして氷温(-0.8℃)では0.92(mg/kg)という結果が得られた。貯蔵温度は低ければ低いほど呼吸は抑制され、氷温ではその傾向が著しい。氷温技術の基本的メカニズムの一つである。
また、果実、野菜のおいしさを考える上では、そしゃく感、口溶け感なども重要な要素である。一般的に果実が熟成すると組織が柔らかくなる。これは、細胞中にある不溶性のプロトペクチン(protopectin)が酵素作用によって可溶性のペクチン(solublu pectin)に変化するためである。ある種の果実では、熟成中にセルロース(cellulose)、ヘミセルロース(hemicellulose)、リグニン(lignin)などの含有量が減少することも知られている。
ただしミカンや夏ミカンのように貯蔵すると甘く感じるのは、呼吸によって有機酸(酸味)が分解されて減り、糖酸度(糖分率)が大となるためである。