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氷温技術とは

はじめに

 日本は、四方を海に囲まれ、四季の区別がはっきりとした国です。
 私たちは、この美しい国の山の幸、海の幸の恵みによって生かされてきました。
 弥生時代前期に始まる稲作文化は、様々な素材との出会いとともに、江戸時代における、味噌、しょう油等の醸造技術の発展で、和食文化としてほぼ完成されました。そして、明治以降にもたらされた洋食が日本の食文化をさらに多様化していったのです。
 日本の食に対する感覚は、四味(甘味、酸味、塩味、苦味)の他に、旨味という第五味を発見したことからも、いかに優れたものかがうかがえます。
 この私たち日本人が、旨いと感じる食べ物の中に、“旬”があります。旬はいろいろな素材の一番おいしい時期をいう言葉です。
旬にいたったいのちは、生命エネルギーに満ち溢れています。だから旨いのです。もう一つ、“寒”という言葉を頭につけたいい方があります。これは、「寒ざらし」、「寒干し」、「寒仕込み」など、最も外気の寒い時期を利用した、食材の加工方法を指した言葉です。この時期は、朝晩の気温の差が大きいのと同時に、“乾”いわゆる、乾燥も同時に起こる時でもあります。これによって、生きものである素材にストレスをあたえ、旨味が増すのです。
 「寒」や「乾」のメカニズムに基づき、素材の旨味を増し、長期の貯蔵を実現する。
 日本の食文化の新たな1ページともいえる、氷温食文化の時代の到来を、私たちは、昭和の時代まで待たなければなりませんでした。

氷温の原点

 昭和45年、当協会初代理事長 故山根昭美博士が、摂氏0℃以下でも凍らずに食品が生き続ける温度域を発見し「氷温」と名付けて、定義しました。「氷温」の誕生です。
 食品はそれぞれ固有な「氷結点」で凍りはじめます。0℃からこの氷結点までの未凍結温度領域を「氷温域」といい、この「氷温域」で食品の貯蔵や加工などを行うことが氷温技術の基本となり、「安全・安心」、「健康」、「自然のおいしさ」を兼ねそなえた食品が造られるのです。自然の摂理が生かされ、伝統的食文化の重みも伝えるこれらの食品、これこそが全国、世界へと広がろうとしている「氷温食品」なのです。
 山根博士の発見以来、研究はたゆまず続けられ数々の新技術の開発に成功しています。また、アカデミズムの世界において氷温効果発現のメカニズムが解明されていくのに伴い、生産、輸送、加工、販売の現場も含め食品流通のあらゆる場面で氷温技術は深化し、実用化されています。「氷温」の追求にゴールはありません。


「氷温うるおい効果」が引き出す3大効果 

氷温技術は、鮮度良く、美味で、しかも衛生面で優れた食品の提供ができます。特に、氷温下では食品中の水分がすみずみまで行きわたり、みずみずしさ、しっとり感、なめらかさ、まろやかさが向上するといった「氷温うるおい効果」が氷温食品全般にみられます。この「氷温うるおい効果」によって氷温技術の3大効果、すなわち「高鮮度保持化」、「高品質化」および「有害微生物の減少化」が可能となり、添加物に頼らず、食品素材の持つ本来の美味しさを充分に生かすことができるのです。
さらに、「氷温うるおい効果」は、焼きムラや加熱ムラを軽減するなど、加熱加工食品の品質向上も可能とし、広く食品産業に貢献できる技術として、世界からも注目されています。


高鮮度保持化
氷温下では呼吸代謝が著しく抑制されるため、老化の進行が遅くなり、細胞の活性が保たれます。生鮮物では冷蔵より3倍から5倍程度の鮮度保持が可能となり、とりたて、もぎたてのみずみずしさやしっとり感を保持します。また、加熱加工食品の氷温管理では、酸化など食品中の化学反応速度の低下により、冷蔵と比較して製造時の鮮度感をより長期間保ちます。


高品質化
細胞は、氷温下、すなわち0℃以下のストレスにさらされると、食品素材である生体は凍るまいとする自己防御機構がはたらき、不凍物質を蓄えます。この不凍物質に含まれる遊離アミノ酸類や糖類はうま味や甘み成分でもあり、一年中で最も寒い大寒の旬の味覚・風味が再現されるのです。また、なめらかさやまろやかさの向上、あるいは塩角(しおかど)が取れるなどの物性面での熟成も進みます。


有害微生物の減少化
氷温の世界では、サルモネラ、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、病原大腸菌などの有害微生物が減少するため、衛生面では最高の環境での食品製造が可能となります。







 
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